JAMJAM日記|タイ編 大友良英 Otomo Yoshihide

2015/03/28

ワークショップとレクチャー

今日の午後はラーンナー・アーキテクチャー・センターでワークショップとレクチャー。集まった生徒は十数人、昨日行った音楽学校の生徒も3人ほど。他にはアーノントさんやビッグさんの生徒たちも。国籍がさまざまなのも嬉しい。

まずはアーノントさんが自分のサウンド・インスタレーションの作品と、チェンマイのストリート・ミュージシャンたちを同時に紹介しながら、自分自身のリアリティの中で、どう音楽を作っていくかという話を。彼の自己紹介といってもいいレクチャーで、これはとっても面白かった。この先、彼の作品と、彼が紹介したようなストリート・ミュージシャンたちの音楽が、どう彼の創作にかかわってくるのか、そこがもっと明確になっていったら、それこそチェンマイでしかできない何かになるんじゃないかな。

つぎはビッグさんが紙を使ってペーパー・オーケストラのワークショップ。破ったり、丸めたりで音を出しながら、さまざまなアンサンブルを試みる実験。カサカサ、ゴソゴソの1時間。昔やったポータブル・オーケストラを思いだす。来ていた生徒たちに、この面白さ、どのくらい伝わったかな。

サウンド・インスタレーション

室内や屋外に音響・音楽を設置し、その環境自体を体験させる表現形態をとる作品。

そして最後はわたしの番。自分の子どもの頃や青年期の音楽体験から自分自身の音楽を始めるまでの話や、プロジェクトFUKUSHIMA! での活動、そこで始めた誰でも参加できるオーケストラの話を。自分の中では福島での活動と、いまこうして東南アジアでやってる活動は、どこかでつながっている。なので、こんな話からサンデーマーケット・オーケストラにつながっていけばいいなあって思いを込めながらのレクチャー。昨日のソロライブに続く自己紹介だ。

レクチャー

この日もみなでタイ風鳥の唐揚げ屋で打ち上げ。オレが子どもの頃聴いていた歌謡曲がどんなのだったのか、ビッグからの質問攻めにあいながら、唐揚げにむしゃぶりつく。いつのまにやら、彼等も自分たちが子どもの頃に何を聴いていたのかの話に。

オレが若い頃、欧米で何度も何度も聞かれた「日本の伝統音楽からの影響は?」って質問の根底には、欧米人から見たアジア人性の押しつけがあると思うけど、アメリカに留学していたビッグは、たぶん、この微妙な割り切れない押しつけを経験しているはずで、だから彼は、盛んにオレに、子どもの頃聴いてきた音楽の話を聞いてきたんだと思う。日本の都市で育った僕の世代の人間は、音楽一家にでも生まれないかぎりは、その国の伝統音楽で育つわけもなく、テレビやラジオでの音楽体験が自分のネイティブな音楽を作ってる場合が多い。カデさんみたいにガムランが生活のなかで生き続けているウブドで育ったら、まったく別の音楽体験をして育つことになると思うけど、タイのように西洋化と都市化が進んだところで育ったビッグにしてみれば、僕が彼とどこか似たような音楽体験をしてきているように見えたんじゃないだろうか。