JAMJAM日記|フィリピン編 大友良英 Otomo Yoshihide

撮影:石川直樹

エピローグ

オレ、震災後は
本当に、指針が見えなくて
まるで暗闇の中で遠くのロウソクを見つけるような思いだったときもあったけど今考えると
暗闇の中でロウソクを見つけるんじゃなくて
目がなれてくるとぼや〜〜〜んと世界が見えて来て
ぼや〜〜んとした中で試行錯誤みたいでいいのかなって。
さわってみて、あら、違う・・・とか
あれれ、わりと好き・・・・みたいなのでいいかなって。
そんな姿をさらせばいいかなって
思うようになりました。

 

音楽にはピントを合わせない聴き方ってのがあります。
『MUSICS』(岩波書店)にも書いたけど
ピントを合わせずにぼや〜んと全体を聴く
この聴き方が出来ないと
録音のエンジニアは出来ないし
いい作曲やプロデュースも出来ないと思ってます。
ピントを合わせると、ピントが合ってない場所が聴こえなくなる。
ぼや〜〜んと焦点をしぼらずに聴かないと聴こえない音ってのがあるんです。

いろいろある・・・・ってそういうことなんだと
僕は思ってます。
人それぞれいろんな向き合い方があっていいわけだから。

 

劇伴はね、ドラマとがっつり向き合うとつまらないもになるなぁって思います。
だって、そうしたらドラマから見えてくるものしか見えないし
ただドラマを強化してしまうだけだもの。
空気読めなかったり、ときにはピントが合ってなかったりしないと
立体的にならない。
音楽ってそういう役目だと思ってます。

いろいろある・・・・ってそういうことなんだと
僕は思ってます。
人それぞれいろんな向き合い方があっていいわけだから。

劇伴(げきばん)

映画やテレビドラマなどで流れる伴奏音楽。