JAMJAM日記|インドネシア編 大友良英 Otomo Yoshihide

撮影:石川直樹

2014/12/14

開沼さんはいくつもの取材やインタビューをこなして、ジョクジャの床屋さんでヘアカットまでして一足先に日本へ。そして夕方には吉岡さんもとんぼ返りで日本へ。お疲れさま。

その後、ディアナさん、有馬さんとともにヴェンザたちの運営するファブラボへ。小さな2階建てビルを使ったこのスペースでは、アーティストが自分たちでさまざまな工作ができるよう、工具やら3Dプリンターやらが備わっている。そこの仲間たちも交えて、今後の展開についていろいろと話をする。一昨日のシアター・グラシでのオレとジョグジャのアーティストたちとの対話を見ていた有馬さんから、この先、オーケストラをつくっていく際にも、対話をすること「ダイアローグ」の方法を地元のキーパーソンになるような人たちを見つけて重ねていってはどうかと提案された。例えばインドネシアのヴェンザのような、各地のキーになってくれそうな人たちと対話を重ねながら、アジアの地で音楽家ではない人たちとオーケストラをつくったりネットワークをつくっていくというのはどういうことなのかを考えつつ、それを実行していく……というアイディアは、ものすごく魅力的だ。

今回の旅の中で出てきたヴァナキュラーな音楽のありかた、スポンティニアスな音楽のありかた、そして「音楽家なしの音楽」という発想を、アンサンブルズ・アジア・オーケストラの中で実現していく際に必要なのは、従来の音楽のように強力な音楽家なりが曲をつくって皆に演奏してもらうとか、皆を引っ張っていくとかではなく、いや、そんな方法もあっていいけれど、でもそうしたものだけではなく、重要なのは、それぞれの土地で出会ったキーパーソンになる人たちとの対話を重ねながら、その地にあった独自の方法を一緒に見つけていく……そんなやり方なのではないだろうか。

ナイトマーケット(撮影:大友良英)

その後も場所をナイトマーケット、レストラン、ヴェンザの家、そしてホテルロビーと移動する中で、あれやこれやと皆でわいわいやりながらもアイディアを出し合う。バリ、バニュワンギ、スラバヤ、そしてジョクジャと旅をし、村のガムランからローカルポップス、そしてノイズや即興演奏に至る、ある意味、極端なインドネシアの音楽たちと出会っていく中で、これまで漠然としていた地図の輪郭が、少しだけだけど見えてきたような気がしている。

ヴェンザの家にて(撮影:大友良英)
ヴェンザの家にて(撮影:大友良英)